水草水槽における「鉄」の役割 その②

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平日時間があったのでADAのサポートセンターに電話し、最後のピースが埋まったので書くことにしました。結局テスト終わる前に書いちゃったよ俺(苦笑。
まぁ、土壌学の勉強のつもりで書きますね。

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以前、「水草水槽における「鉄」の役割 その①」において、肥料学的な側面から鉄を積極的に追肥、特に、メ○デール等で鉄のみを添加することに否定的な文章を書きました。

今回は一転。「鉄」を積極的に追肥することを積極的に肯定する文を書きたいと思います。
切り口は、土壌学です。


※注意①
前もって言っておきますが、以下の文章は
「黒ボク土(火山灰土壌)由来のソイル」
つまり
ADA 「アクアソイル アマゾニア」
GEX 「水草一番サンド」 

・・・・・・等、
黒色のソイルを用いている方について当てはまる文章です。
大磯砂や、その他の土壌由来のソイルを用いている場合には当てはまらないので、ご注意下さい。


さて、黒ボク土といっても多くの方はピンとこないと思いますが、何てことはありません。火山灰土壌といわれるだけあって、火山灰の堆積した結果に出来た土です。園芸店などでは黒土(くろつち)として売られているので、ガーデニングをしている人は分かるかな?

○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○
以下を読む前に
※注意②
「黒土(こくど)」「黒土(くろつち)=黒ボク土」は異なる土壌です。
「こくど」は世界的に有名な肥沃な土壌で、サバナ気候の地域に分布する土壌です。尚、これは火山灰土壌ではありません。分布としては、ウクライナのチェルノーゼム、アメリカのプレーリ、ブラジルのレグールなど、世界の有名な穀倉地帯や綿花地帯を形成する原動力となった土壌です。
無論、「こくど」はサバナ気候に存在する土壌なので、温帯気候の日本には存在しません。
問題は、「こくど」と「くろつち」が和名だと同じ「黒土」になっている点で、混同している場合が多いので注意してください。
このような判りにくい状態の原因は、メーカー側が「こくど」のプラスイメージを「くろつち」に与えたいからこんな状況なんじゃないかな~って考えています。無論、個人的意見ですが。


※注意③
ADAの「アクアソイル アマゾニア」の説明には「黒土」としか表記が無く、「こくど」か「くろつち」か判断出来なかったので、本日ADAのサポートセンターにTELしてみました。←迷惑なやつめ(’д’
その結果、担当の方から
「どちらかは判らないが、国産の土を使っている」
との回答を得ましたので、「こくど」は日本には無いことより、
ADAの「アクアソイル アマゾニア」は国産の「くろつち=黒ボク土」を用いていると判断しました。
ADAの「アマゾニア アクアソイル」は、商品名がブラジルのアマゾンぽい名前をしていますが、純日本国籍の火山生まれのようです。世界で活躍して凄いですね(笑)
また、黒ボク土ってことはGEXなど他の多くの黒い色をしたソイルと同じ土壌であると思われますが・・・・・この値段の差は一体どこから発生しているのでしょうか?ブランド代??(ぇー)
○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○

注意が続いてしまいましたが話を本題に戻し、
黒ボク土の特性について書きたいと思います↓

黒ボク土は火山灰が積もって出来た火山灰土で、北海道、東北、関東、九州に特に多く見られます。
また、日本の他の土に比べて腐植含量が極めて高く、世界のいろいろな土と比べても最高位にあります。
これは、火山灰に多く含まれるアロフェン(非結晶質のケイ酸アルミニウム)が腐植との結合が強く、腐植を容易には分解できない形に変え、多量集積の要因になったと考えられています。これが、土の色を黒くしている要因です。

国名     地目   土壌名     腐食含量(%)
日本     水田   灰色低地土     3.8
日本     畑地   褐色森林土     2.7
日本     水田   黒ボク土       9.3
日本     畑地   黒ボク土      10.3

アメリカ   畑地   モリソル       4.0
ロシア    畑地   チェルノーゼム   8.3
中国     畑地   黄土          1.8
*出典:土と人のきずな/新風舎

この数値を見る限り黒ボク土は非常に素晴らしい能力を持った土壌であり、植物を育てるのには適しているといえます。
この特性から、各アクアメーカーがこの土壌を利用した商品を作り、さらに特殊な製法で団粒構造を作り、よりアクアリウムに適した素材として我々に提供してくれているのだろうと思います。



しかし!いい所ばかりではありません。
しっかり欠点もあり、それをキチンと理解したうえで使おうというのが今回の主旨です!!!


欠点① 火山灰土壌であるが故、硫黄が多い
硫黄(S)といえば、温泉地で臭う卵の腐った臭いの元です。しかし、硫黄は植物の必須多量元素の一つであり、欠くことが出来ない重要な物質です。よって、それが欠乏しないのは良いのですが、水中で使うという特性上これが欠点にもなりえます。

土壌中において硫黄は主にNa2SO4の形で存在しますが、還元状態=酸素が無い状態=水槽の底砂の中ではNa2SO4→SO4→H2S(硫化水素)の形になります。
この硫化水素は植物の根にとって非常に有害で、根を腐らせてしまします。
最近自殺に利用されたりと、その毒性は世間的にも知られていると思いますが・・・・

しかし!土壌中に鉄(Fe)があると、硫化水素は鉄と結合し
H2S+Fe→FeS(硫化鉄)の形になり、植物の根には無害になります。
逆に言うと、鉄が少ないと黒ボク土に含まれる多量の硫黄は硫化水素(H2S)となって植物の根にダメージを与えてしまいます。

この事からわかることは・・・
初期状態のソイルでは鉄が沢山あるので問題が無いが、長期間水槽を維持し、植物が土壌中の鉄を吸収して減らしてしまうと硫化水素が発生し、水草が育たなくなる
・・・という現象が見られるようになると考えられます。

つまり
黒ボク土由来のソイルを用いて長期間維持する場合
鉄の追肥が必要になると考えられる!
と、私は考えます。
長期間ソイルで水槽を維持していて、根の張りが悪くなったら鉄を含む固形肥料(ADAアイアンボトム 等)をソイル内に入れることを考慮に入れてみてください。硫化水素が原因の場合は、それで改善されます。
尚、この辺の話は「水田の秋落ち」と通じる知識です。詳しく知りたい方は、その辺から調べると判りやすいかも。


欠点②アロフェン(非結晶質のケイ酸アルミニウム)の理化学性
これも利点と表裏一体の欠点なのですが・・・
このアロフェン(非結晶質のケイ酸アルミニウム)はリン酸(P)の保持能力が高く、特にpHが低くなるとこの傾向が強くなります。
そのためリン欠乏になりやすく、畑などではリンを多く施肥します。



が、アクアリウムだと餌由来のリンが過剰に蓄積しがちなので、この特性はアクアリウムに限って言えばいい方向に働くことが多いように思います。しかしがら、やはり長期間の水槽維持や管理状況次第ではリン欠乏に陥る場合もありますので、水草にリン欠乏の症状が現れた場合(全体的に色が濃くなる等)は対応してください。


欠点③になる可能性があるもの 非アロフェン質火山灰土壌
火山灰土壌におけるアルミニウムは、多くの場合アロフェンとして存在します。しかし、中には非アロフェン質火山灰土壌と呼ばれるものがあり、この土壌はアルミニウムがイオン化しやすい傾向があります。そのため、この土壌を原料にソイルを作った場合は、アルミニウムによる毒性が出る可能性があります。
アルミニウムというのは、酸性条件下で強い毒性を示し、主に根の生長点に著しい生長阻害が見られます。極端な酸性状態(pH4とか)になった場合は、アルミニウムによる害が発生する可能性も無きにしもあらず・・・・・って感じです。
無論、基本的にこのような土壌を含まないように商品が作られていると思いますが、放置気味の水槽はpHが下がっている傾向があるので、知識としてこういうものもあるということを知っておくと良いと思います。




以上。
結局言いたかったのは、欠点①の硫化水素と鉄の関係についてです。
あとはオマケ(ぇー)

改めて書きますと・・・・
「黒ボク土由来のソイルで長期間維持した場合、鉄の追肥が有効である可能性がある」
ってこと。
ただし、施肥するなら固形肥料を用いてください。液体だと、根元に届かない可能性が大です。

一方で、栽培状況にもよりますが、まぁ一年で鉄が欠乏する事も少ないと思います。

また、そもそも黒ボク土由来のソイルを使ってない場合、鉄は一必須微量元素に過ぎません。この場合、鉄を重視するのであれば他の必須微量要素全体も気にすべきだし、それ以上に必須多量要素のバランスの方が重要のはず。

っというのが私の考えです。


最後に。
ソイルで管理されている方の多くが、一年ほどでリセットされているように感じます。
事実、一年を過ぎると窒素を初めとする多量必須元素が欠乏し、水草の生長に著しい阻害が見られることを私自身体験してきました。
また今回、黒ボク土由来のソイルを利用して長期間維持する場合に限り、本来微量要素である「鉄」の重要性が高まるのではないか?っと、提示させていただきました。
ソイルで数年間水草水槽を維持する場合は、これら様々な欠乏症状との戦いになります。リセットするのが簡単かもしれません。しかし、閉鎖空間で生態系を維持するという、難題にあえて挑む楽しみもあると思います。
我が家の水槽も、立ち上げて3年目を進行中です。様々な問題が発生しますが勉強のつもりで対応策を考えつつ、維持していきたいと考えております。



素人の文なんでこの文の影響で問題が起きても責任取れません。
私自身学び手なので、今後も意見が変わるかもしれません。
現時点における一つの意見として読んでいただければ幸いです。

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コメント
この記事へのコメント
鉄と加里
試験勉強おつかれさま。
おっ、例のヤツ待ってました。
息抜きにしては、しっかりしたレポートです・・・・ダイジョウブ?
非常に解り易いです、感謝。

アマゾニア君はメッチャ日本人だったんですね。
初期には結構含まれている鉄が不足してくる時期を見極めないと、
過剰になっちゃいますね。って、あれっ・・・??。
鉄の過剰症状は「加里に対する吸収阻害」ですよね。
これは某社のFe系底床肥料とK系液肥を
たくさん買ってもらうための戦略?
・・・なんて思ってしまう私は、世知辛いヤツです。

2008/06/04(水) 01:00 | URL | cheepappa #SQbl7Cak[ 編集]
>cheepappa 様
ご心配いただき、ありがとうございます。
長文ですし、考えながら打つので一時間程かかりましたが、大丈夫ですよ・・・あはは(苦笑)
まぁ、文章の根幹は勉強内容と通じるところがあるので、復習ついでに書かせていただきました。

アマゾニアが日本人ってのは、私自身もビックリしました。

KもFeも過剰症状は比較的出にくい方ですが、そういう事が起こってる水槽もあるんでしょうねぇ。

ちなみにこの文。本当はパワーサンドの情報も十分にあれば、パワーサンドの有用性を考察したかったのですが・・・・まぁそんな時間的余裕が無いので、それはまたいつか(^^A
2008/06/04(水) 09:09 | URL | 浩之@管理者 #x9c5GV3o[ 編集]
ADAに連絡したのはこのことだったんですね。
分かりやすく、納得しました!
前回の記事と合わせて復習しておきます!
2008/06/04(水) 12:58 | URL | hirojet #-[ 編集]
>hirojet様
そうなんですよー。ADAの担当の方は予想外の質問だったらしく、申し訳ないことをしました(^^A
まぁ、素人文なので思わぬ落とし穴があるかもですから、程々に参考にして下さいましね。
2008/06/05(木) 19:04 | URL | 浩之@管理者 #x9c5GV3o[ 編集]
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