水草が赤くなる原理

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水槽の中で赤く染まる水草
赤系の水草は一般的に栽培が難しいとされる種が多いが、多くの人を魅了していると思います。

私が知りうる限り、赤色に染めるテクニックとしては以下の2点が特に重要とされてるように思います。
①高光量
②鉄の施肥


このため水草を赤く染めたい(赤色化したい)場合、高光量の維持のためにメタハラの購入や60cm水槽で蛍光灯を3~4灯使う。あるいは鉄の施肥のためにアイアンボトム(Fe 固形肥料)やメネデール(Fe)などを使っている方が多いと思います。
実際、これらの管理で水草の赤色化に成功する方が多いというのは事実であり、多くのアクアリストたちが経験的に見出した栽培技術なのだろうと思います。

これに対し・・・
現象の結果だけではなく、その過程、原理を知りたがる私としては、
水草が赤くなる原理(赤色化の原理)
について、植物生理学的視点から示してみたいと思います。

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なお、以下の理論は確実なものではありません。
「日本植物生理学学会の質問コーナー」で相談し、専門家の方のご意見を踏まえて書いていますが、植物の生理現象は未知の部分が多く、現在有る知見から考察したに過ぎません。あくまで可能性の一つとして読んでいただけると幸いです。
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第1章 水草が赤くなる原理

水草が赤くなる原理は、紅葉するモミジと同じ原理と考えられます。
つまり、
クロロフィルの分解・消失アントシアニンの合成促進
によって引き起こされます。

植物は、緑色に見えるクロロフィル(Chlorophyll) という光合成色素を持っています。これは光を受容する器官であり、光合成において光エネルギーを電気エネルギーにする重要な器官です。つまり、ソーラーパネルのようなものです。
また、クロロフィルを含む葉は緑色に見えます。逆に、クロロフィル以外の光合成色素体を含む植物は、緑色以外の葉色をしています。

一方、アントシアニン(anthocyanin)は植物界において広く存在する赤~紫色を示す色素です。機能としては紫外線を吸収する他、活性酸素を抑える抗酸化作用などがあるとされています。人で言うところの日焼け(メラニン色素)のようなものです。
また、アントシアニンを含む葉は赤~紫色を示します。このアントシアニンの色の変化は、結合する物質や細胞内pHなどで変わるとされています。


繰り返しになりますが、赤色化をさらに簡単に説明するならば、
緑色の色素が減り赤色の色素が増えるから赤く見える。
ということです。



第2章 何故水草は赤くなるのか?

赤色化がクロロフィルの消失とアントシアニンの合成によるとすれば、それが起きるのはどういう条件かを考えてみましょう。赤色化する水草の中でもメジャーなロタラ(Rotala)の仲間、ロタラ インディカを例に挙げて考えてみたいと思います。

ロタラの仲間は南方系の水草で、光量のとても高い条件で生育していると考えられます。
その中で、光量が非常に高い(光エネルギー過剰)条件では葉緑体内で活性酸素が発生し、これが葉緑体を衰えさせて、クロロフィルの分解をもたらします。
更に、直接太陽光を受ける上部の葉では紫外線も強いので、その害から守るために紫外線を吸収するアントシアニンを合成すると考えられます。

これらのことから、水草の赤色化は、過剰な光エネルギーに対する障害と紫外線に対する防衛反応であると考えられます。
もちろん、水草の種類によって過剰であると感じる光量は異なる(例 ロタラ系は高く、クリプト系などの陰系は低く推移していると思われます。)と共に、すべての水草が赤色化するわけではありません。

以上のことから、水草が赤色化するのに「高光量」が有効というのは、生理学的に見ても理にかなっている技術であるといえます。さらに、「高光量」だけでなく「適度な紫外線」も赤色化をより強く誘導する可能性があります。蛍光灯に比べてメタハラで育てたほうが赤色化を示しやすいのは、メタハラは蛍光灯に比べて紫外線を非常に多く放出するからなのかもしれません。


第3章 鉄を施肥する意味
以前、私は鉄はあくまで必須微量元素の一つであり、過剰に与える必要は無いと記述してきました。しかし、鉄が赤色化を促進させる可能性を示す知見を得ることが出来たのでお知らせします。
あくまで憶測ですが。。。


クロロフィルの合成は protoporphyrin IXからMg-chelataseの働きで Mg-protoporphyrinIXになり、それからchlorophyll a(クロロフィルa)が形成されます。しかし、protoporphyrin IXは chlorophyll a(クロロフィルa) の前駆体であるだけでなく、Fe-chelatase という別の酵素が触媒してFeと結合し、protoheme(プロトヘム)になります。
chlorophyll-2.jpg


このことを考えると、過剰の鉄イオン(2価)の存在は protoporphyrin IXの protoheme(プロトヘム) への転換が進み、Mg-protoporphyrinIXへの転換を抑えることとなり、結果的にchlorophyll a(クロロフィルa)の合成量の減少をもたらすということも考えられます

これらの考えは憶測に過ぎません。しかし、鉄を他の元素の吸収阻害をしない程度に過剰吸収させることにより、赤色化を促進させることができる可能性を示すと思います。



第4章 思うところ

高光量と鉄の施肥が水草の赤色化を促進する"原理"。その可能性について示してきました。
水草の赤色化が防衛反応である。つまり、水草が赤色化するのは環境が良いからではなく、光が強すぎるという点でストレスを感じる環境であることが示唆されたのは、非常に興味深いと思います。とわいえ、一般的に光量不足になりがちな水槽において、植物が少し強すぎると感じる程の光量を与えることが出来ているということは、むしろ良いことだと思います。もちろん、やり過ぎは弊害が出るためダメでしょうけどね。
(例:赤色化しない水草のクロロフィル量が低下し、緑色が薄くなる。藻が増える。など)

さて、これらの知見を水景つくりに生かすとなると・・・
蛍光灯の方は適度に紫外線を発生させる蛍光灯を利用してみると面白いかもしれませんね。紫外線が強すぎると魚が日焼けしてしまいますが(==)。
鉄の施肥に関しては、利用すると赤色化を誘導しやすい可能性があることが改めて示されたと思います。適度に与える方が良いのかもしれませんね。

最後に。
これまでに何度も言ってきましたが、植物は窒素、リン酸、カリウムをはじめとする必須多量元素、そして多くの必須微量元素があってこそ元気に育ちます。今回は光と鉄の話しですが、これら多くの元素があってこその赤色化なので、他の元素についても気を配ってあげてください。以前よりブログのカテゴリー「肥料関係」や、ここ以外のHP「アクアリウムのHP」においても色々書いていますので、それらを参考にしていただけると幸いです。


質問等ありましたら、どたなでも気軽にコメント欄へ書いてください。
でわ。

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コメント
この記事へのコメント
こんばんは
穂先をカットした後に茎が
赤く染まったりすることを見ると
ストレス論というの納得できます。
赤い波長が多い照明の方が赤くなる
というのも赤い光を反射したいという防衛手段
なのでしょうか?
太陽光で赤さが際立つ水草も
多いと聞きます。
2009/02/02(月) 00:51 | URL | cheepappa #SQbl7Cak[ 編集]
いつもありがとうございます
>cheepappa様
>穂先をカットした後に茎が赤く染まる
これにに対しては、今回紹介した生理現象以外の可能性もあると思います。強光ストレス以外にも、切るなどの物理的ストレスを与えることによってアントシアニンが合成される場合がありますので、「穂先をカット」に対する赤色化がどちらの反応かを断定することは難しいです。

>赤い波長が多い照明の方が赤くなるというのも赤い光を反射したいという防衛手段なのでしょうか?

赤色化を誘導する波長についての学術的な結論が出ていないらしく、完全に想像するしかありません。しかし、強力すぎる光エネルギーは活性酸素を生み出し細胞を破壊するので、光エネルギーを効率的に得てしまう赤色系の光を、アントシアニンによって積極的に反射しているのかもしれません。
※赤い光(波長0.6~0.7μm)は最も光合成効率が良い波長

無論、アントシアニンによって反射される赤色の光が多いほど、アントシアニンがより際立つという視的な効果もあるのかもしれませんが・・・。
2009/02/02(月) 20:43 | URL | 浩之 #x9c5GV3o[ 編集]
なるほど~。
これは興味深いですね~!

水面近くに成長してくると赤くなるってのもうなづけますね。
強い光と鉄分の補給か~。
ってことは、今まで言われていた対処法は間違って無かったってことですね。
ただ・・・メタハラだと赤くなる草が赤くならず、蛍光灯だと赤くなるっていうのも結構聞くんですよね・・・(^^;


肥料が切れてくると赤味を増してくる草もあるようですが、それはクロロフィルが減少してアントシアニンが相対的に目立ってきて赤く見えるってことなんですかね?

いや~、ためになりました!<(_ _)>
2009/02/06(金) 01:31 | URL | ほんだし #JalddpaA[ 編集]
考えてみましたー
>ほんだし 様
今回は、「高光量と鉄」の必要性を理論付けてみた・・って感じですね^^A。赤色化が上手くいかない方が問題点の洗い出しするときの参考にしてくれたらなー とか考えながら書いてみました。

>メタハラだと赤くなる草が赤くならず、蛍光灯だと赤くなる。

赤くなるのが光を過剰と感じた生理現象とした場合・・・単純に光エネルギーの強弱の問題だと思います。
一般的にメタハラは強光とされますが、光が直線的でムラが出来やすく、弱光になる部分が出来やすいようです。また、機種によっては光量そのものが比較的少ないものもあるのかもしれません。さらに、紫外線をカット(或いは減らした)したメタハラもあると聞きます。紫外線は目に悪いですからね・・・
逆に、蛍光灯は光が回りこみやすく、メタハラに比べて光量のムラが少ないようです。また、使用している蛍光灯が光合成に有効波長を多く含んでいる場合や、本数を増やすとメタハラより強力な光エネルギーを与えることが出来るのだと思います。
結局、メタハラだから蛍光灯だからというように光源の種類ではなく、「有効波長を含む光量がどれだけ多いか。」に尽きるのだと思います。無論、紫外線の放出量などの差はありますが、主たる要因は光量と考えます。


>肥料が切れてくると赤味を増してくる草もある

実際に見てないのでわかりませんが、考察だけしてみます。
可能性①クロロフィル減少説
アントシアニンの合成は光合成に使うエネルギーの吸収を阻害するので、低栄養という悪環境でアントシアニンを合成するのは生き残りという点から見て不利な生理現象だと感じます。
よって、ほんだし様がおっしゃるように、クロロフィルの合成が阻害されることによって相対的・結果的に赤色化している可能性があります。

可能性②生産調整説
低栄養によって光合成回路を上手く行えず、光エネルギーを多く必要としなくなっているのかもしれません。そこで、アントシアニンを合成することによって吸収する光エネルギー量を光合成にあわせた量に調節(減らす)している可能性があります。

可能性③とりあえず反応説
アントシアニンは強光ストレス以外にも、様々なストレスによって誘導されることが知られています。よって、その水草は低栄養ストレスによってアントシアニンが誘導されるのかもしれません。ただ、誘導される理由が「可能性②生産調整論」のように意味有る現象なのか、”とりあえず”って感じの反射的な生理現象なのかは分かりません。

まぁ、ぱっと考えたらこんな感じです。どれが正しいかはわかりませんが、個人的には「②生産調整説」を支持します。
参考にしていただければ幸いです^^
2009/02/07(土) 01:04 | URL | 浩之 #x9c5GV3o[ 編集]
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